Google 検索トラフィックの減少をデバッグする
オーガニック検索のトラフィックが減少する原因はいくつかあり、サイトに何が起きたかを正確に把握するのは必ずしも簡単ではありません。このガイドでは、Search Console のパフォーマンス レポートと Google トレンドを使用して検索トラフィックが減少する原因を調査し、その対策について説明します。
オーガニック検索トラフィックが減少する主な原因
何が検索トラフィックに影響を与えているかを把握するために、画像内の略図をご覧ください。ここで示しているのは、トラフィックに影響を与えた可能性のある原因とグラフの形状を略図化したものです。
次のセクションでは、トラフィックの減少を分析する際に調査すべき主な原因について説明します。Search Console のデータ異常ページでも、サイトに該当するものがないか確認するようにしてください。トラフィックの減少が、データ処理の変更やロギングエラーに関連している可能性もあります。
アルゴリズムの更新
Google は常にコンテンツの評価方法を改良し、それに応じて検索ランキングと提供アルゴリズムを更新しています。コア アップデートやその他の小規模なアップデートにより、Google 検索結果におけるページのパフォーマンスが変化することがあります。システムの重要な改善については、ランキングの更新に関するリストのページに掲載しています。サイトに該当するものがないか確認してください。
アルゴリズムの更新が原因でトラフィックが減少していると思われる場合、コンテンツには根本的な問題はないかもしれないと推測することが大切です。変更が必要かどうかを判断するには、Search Console で上位のページを調べ、どのようにランク付けされているかを確認してください。
- 掲載順位がわずかに低下しているのか例: 2 位から 4 位への低下
- 掲載順位が大幅に低下しているのか例: 4 位から 29 位への低下
掲載順位のわずかな低下
検索結果の上位に表示される順位が少し変わると、掲載順位がわずかに低下します(検索クエリの順位が 2 位から 4 位に低下する場合など)。Search Console では、インプレッションに大きな変化がなくてもトラフィックが著しく減少することはあります。
順位のわずかな増減は常に起こる可能性があります(特に手を加えなくても自然に順位が回復する場合も含めて)。すでにページのパフォーマンスが良好であれば、根本的な変更は避けたほうがよいでしょう。
掲載順位の大幅な低下
検索結果で上位に表示されるさまざまな用語の順位が大きく落ち込むと、掲載順位が大幅に低下します(上位 10 位から 29 位への低下など)。
このような場合は、(個々のページだけでなく)ウェブサイト全体を自己評価し、ウェブサイトが有用で信頼性が高く、ユーザー第一のものになっているか確認してください。サイトを変更した場合、効果が表れるまで時間がかかることがあります。数日で効果を感じられる場合もあれば、数か月かかる場合もあります。長期的に見て有用なコンテンツを生み出しているサイトであるとシステムに判断されるまでに、数か月かかることもあります。一般的には、数週間待ってから Search Console でサイトを再度分析し、掲載順位に良い効果があったかどうか確認することをおすすめします。
技術的な問題
技術的な問題とは、Google によるページのクロール、インデックス登録、ユーザーへのページの表示を妨げかねないエラーのことです(サーバーの可用性、robots.txt の取得、「ページが見つかりません」など)。
このような問題は、サイト全体(ウェブサイトのダウンなど)またはページ全体(noindex
タグの配置間違いなど。これは Google によるページのクロールに依存し、トラフィックがより緩やかに減少することを意味します)に影響する可能性がありますので、ご注意ください。
クロールの統計情報レポートとページのインデックス登録レポートで、該当する問題の急増が検出されていないかどうかを確認してください。問題を正確に特定するのに役立つことがあります。
セキュリティの問題
サイトがマルウェアやフィッシングなどのセキュリティの脅威にさらされている場合、Google では、ユーザーがサイトにアクセスする前に警告やインタースティシャル ページでアラートを発することがあり、それにより検索トラフィックが減少することがあります。
セキュリティ問題のレポートで、Google がウェブサイトでセキュリティの脅威を検出したかどうかを確認してください。
スパムに関する問題
Google では、自動システムと、必要に応じて行われる人間による審査によって、Google 検索のスパムに関するポリシーに違反する行為を検出しています。場合によっては、手動による対策を実施します。サイトが Google ウェブ検索のスパムに関するポリシーに準拠していない場合、検索結果のランキングが下がったり、まったく表示されなかったりすることがあります。
スパム違反でランキングが低下していると思われる場合は、Google のスパムに関するポリシーを見直し、自動システムに検出されるスパム行為をしていないか確認してください。また、Search Console の手動による対策レポートをチェックして、ウェブサイトに対してレポートが出されていないか確かめてください。
季節性、興味や関心の変化
新しい流行や季節によりユーザーの行動が変化することで、特定のクエリの需要が変わることがあります。つまり、トラフィックは単に外部的な影響の結果として減少することがあります。
パフォーマンス レポートを使用して、一度に 1 つだけクエリを含める(最もトラフィックの多いクエリを選択します)ようにフィルタを適用することで、クリック数とインプレッションが減少したクエリを見つけます。次に Google トレンドで、その減少が自分のウェブサイトに関してだけなのか、すべてのウェブサイトに共通して起こっていることなのかを把握してください。
サイトの移転と移行
サイト内の既存ページの URL を変更した場合、Google がサイトを再クロールしてインデックスに再登録するまでの間、ランキングが変動することがあります。原則として、Google が変更に気づくまでに、中規模サイトでは数週間、大規模サイトではさらに長くかかることがあります。
移転後に見られた減少が回復しない場合は、サイト移転に関するトラブルシューティングのセクションで、URL の変更を伴うサイトの移転時によくある誤りがないか確認してください。
検索トラフィックの減少パターンを分析する
トラフィックに何が起きたかを理解する最善の方法は、Search Console のパフォーマンス レポートにある主要なグラフを確認することです。このグラフには多くの情報が集約されています。
インプレッションとクリック数の両方が減少した場合は、考えられる最も一般的な理由を上記のリストで確認してください。インプレッションは変わらないのにクリック数が減少した場合は、最適なページのタイトルとスニペットが生成されておらずユーザーがページのコンテンツを理解できていないか、他のサイトがより魅力的なリッチリザルトを使用している可能性があります。
検索パフォーマンス レポートにアクセスしてから、次のセクションで説明しているように、データにフィルタを適用してみてください。
期間を 16 か月に変更する
グラフの上部にある [日付] フィルタから、[過去 16 か月] を選択します。これは、トラフィックの減少を状況に応じて分析し、休日やトレンドによって毎年発生する減少ではないことを確認するのに役立ちます。期間を 16 か月以上に延長したいのであれば、Search Analytics API や一括データ エクスポートを使用してデータを取得し、システムに保存できます。
次に示すのは、例年の季節性を含むパフォーマンス グラフ(16 か月分のデータ)です。前年同時期も最近とまったく同じように減少していたことがわかります。
減少した期間を類似する期間と比較する
グラフの上部にある [日付] フィルタから [比較] タブに進み、[過去 3 か月を前期と比較] または [過去 3 か月の前年比] を選択します。これにより、正確な変化の実態を確認できます。すべてのタブをクリックして、その変化が特定のクエリ、URL、国、デバイス、検索での見え方のいずれかでのみ発生しているのかどうかを確認します(比較フィルタの作成方法をご覧ください)。
次に示すのは、3 か月間のパフォーマンス グラフを比較したものです。実線(直近の 3 か月)を点線(その前の 3 か月)と比較すると、明らかにトラフィックが減少しています。
異なる検索タイプを個別に分析する
グラフの上部にある [検索タイプ] フィルタを選択し、利用できるさまざまなオプションを試してください。これにより、ウェブ検索、Google 画像検索、[動画] または [ニュース] タブのどれで減少が発生したかを把握できます。
検索結果の平均掲載順位をモニターする
グラフの上部にある平均掲載順位をクリックします。一般に掲載順位の絶対値については、それほど重要視する必要はありません。最終的にサイト成功の指標となるのは、インプレッションとクリック数です。しかしながら、掲載順位の大幅な低下が続く場合は、コンテンツの自己評価により、コンテンツが有益で信頼性の高いものであるかどうかを評価してみてください。
影響を受けたページでパターンを探す
グラフの下部にある [ページ] の表から、減少の原因を説明できるパターンを探してください。たとえば、減少がサイト全体で発生しているのか、複数のページだけなのか、非常に重要な 1 つのページだけなのかを確認することが重要です。確認するには、減少している期間を類似した期間と照らし合わせて、クリック数が大幅に減っているページを比較するとよいでしょう。[クリック数の違い] を選択して、最もトラフィックが減ったページから順に並べます。
それがサイト全体での問題である場合は、ページのインデックス登録レポートを確認します。一部のページのみで減少している場合は、URL 検査ツールを使用して該当するページを調査します。
業界の全体的な傾向を調査する
さらに詳しく調べるには、Google トレンドをご利用ください。全体的にどのサイトでも減少傾向にあるのか、それとも自分のサイトでのみ減少しているのかを把握できます。このような変化を引き起こす要因としては、主に次の 2 つが挙げられます。
- 興味や関心の変化。人々の検索対象と検索方法に大きな変化が起こると、今までとは違うクエリが検索されるようになったり、別の目的でデバイスが使用されるようになったりすることがあります。また、特定のブランドをオンラインで販売している場合は、同じ検索クエリを利用する新しい商品が出現する可能性もあります。
- 季節性。たとえば、Rhythm of Food というウェブサイトを見ると、食品関連のクエリは季節によってかなり異なることがわかります。1 月はダイエット食品、11 月は七面鳥、12 月はシャンパンの検索が増えます。季節性の度合いは業界によって異なります。
さまざまな業界の傾向を分析するには、Google トレンドが便利です。これを使用すると、Google に対して行われた実際の検索リクエストのほぼ編集されていないサンプルにアクセスできます。サンプルは、匿名化と分類と集約を経ています。これにより、Google は全世界レベルまたは都市レベルでのトピックへの関心を表示できます。
ウェブサイトのトラフィックに寄与しているクエリを確認して、1 年のどの時期に顕著な減少が起こっているかを調べます。下記の例では、3 種類の傾向が見られます(データを確認)。
- 七面鳥には強い季節性があり、毎年 11 月にピークを迎えます。
- 鶏肉にはいくらか季節性がありますが、それほど顕著ではありません。
- コーヒーは非常に安定しており、年間を通じて需要があるようです。
他にも検索トラフィックの増加に役立つ興味深い分析情報をご確認ください。
- Search Console のパフォーマンス レポートを参照して、地域の人気上位のクエリを確認し、ご自分のトラフィックを生み出しているクエリと比較します。ご自分のトラフィックに欠けているクエリがある場合は、そのテーマに関するコンテンツがあるかどうかを調べ、もしあればクロールとインデックス登録の対象になっているかどうかを確認してください。
- 重要なトピックに関連するクエリを確認します。これにより増加している関連クエリが明らかになり、それに応じてサイトを準備する(たとえば新たなトピックに対応する関連コンテンツを追加する)のに役立ちます。