コンテンツ コネクタを作成する

コンテンツ コネクタは、企業のリポジトリ内のデータを走査して所定のデータソースを完成する目的で使われるソフトウェア プログラムです。Google は以下のコンテンツ コネクタ開発オプションを提供しています。

  • Content Connector SDK。これは Java でプログラミングする場合に適しています。Content Connector SDK は、コネクタをすばやく作成するための REST API を簡単に使えるようにしたラッパーです。この SDK でコンテンツ コネクタを作成する場合は、Content Connector SDK を使用してコンテンツ コネクタを作成するを参照してください。

  • 低レベル REST API、その他の各種の API ライブラリ。Java を使用していない場合や、お客様のコードベースが REST API やライブラリに問題なく対応できる場合は、これらのオプションをご利用ください。この REST API を使用してコンテンツ コネクタを作成する場合は、REST API を使用してコンテンツ コネクタを作成するを参照してください。

コンテンツ コネクタで行われる標準的なタスクは次のとおりです。

  1. 構成パラメータを読み取り、処理する。
  2. インデックス登録可能な離散的なデータチャンク(これを「アイテム」と呼びます)をサードパーティのコンテンツ リポジトリから pull する。
  3. ACL、メタデータ、コンテンツ データを結合して、インデックス登録可能なアイテムを作成する。
  4. アイテムを Cloud Search データソースにインデックス登録する。
  5. (省略可)サードパーティのコンテンツ リポジトリからの変更通知を待ち受ける。変更通知をインデックス登録リクエストに変換し、これで Cloud Search データソースとサードパーティのリポジトリとの同期を維持する。なお、コンテンツ コネクタによるこのタスクは、リポジトリが変更検出機能に対応している場合にのみ行われます。

Content Connector SDK を使用してコンテンツ コネクタを作成する

以降のセクションでは、Content Connector SDK を使用してコンテンツ コネクタを作成する方法について説明します。

依存関係を設定する

この SDK を使用するには、ビルドファイルに特定の依存関係を含める必要があります。以下のタブをクリックして、ビルド環境の依存関係を表示します。

Maven

<dependency>
<groupId>com.google.enterprise.cloudsearch</groupId>
<artifactId>google-cloudsearch-indexing-connector-sdk</artifactId>
<version>v1-0.0.3</version>
</dependency>

Gradle

compile group: 'com.google.enterprise.cloudsearch',
        name: 'google-cloudsearch-indexing-connector-sdk',
        version: 'v1-0.0.3'

コネクタ構成を作成する

コネクタごとに対応する構成ファイルが存在し、コネクタはそこに含まれているパラメータ(お客様のリポジトリの ID など)を使用します。パラメータは、api.sourceId=1234567890abcdef などの Key-Value ペアとして定義されます。

Google Cloud Search SDK には、すべてのコネクタで使用される Google 提供構成パラメータが複数含まれています。以下の Google 提供パラメータをお客様の構成ファイル内で宣言してください。

  • コンテンツ コネクタの場合、api.sourceIdapi.serviceAccountPrivateKeyFile を宣言する必要があります。これらのパラメータは、リポジトリの場所と、リポジトリへのアクセスに必要な秘密鍵を指定するためです。
  • ID コネクタの場合、このパラメータは外部 ID ソースの場所を識別するため、api.identitySourceId を宣言する必要があります。ユーザーを同期する場合は、企業の Google Workspace アカウントの一意の ID として api.customerId を宣言する必要もあります。

Google 提供の他のパラメータのデフォルト値をオーバーライドする場合を除き、構成ファイルでそれらを宣言する必要はありません。特定の ID や鍵の生成方法など、Google 提供の構成パラメータの詳細については、Google 提供の構成パラメータをご覧ください。

独自のリポジトリ パラメータを定義して、お客様の構成ファイル内で使用することもできます。

構成ファイルをコネクタに渡す

システム プロパティ config を設定して、構成ファイルをコネクタに渡します。このプロパティは、コネクタの起動時に -D 引数を使用して設定できます。たとえば、次のコマンドは、MyConfig.properties 構成ファイルを使用してコネクタを起動します。

java -classpath myconnector.jar;... -Dconfig=MyConfig.properties MyConnector

この引数がない場合、SDK は connector-config.properties という名前のデフォルト構成ファイルにアクセスしようとします。

使用する走査戦略を決める

コンテンツ コネクタの主な機能は、リポジトリを走査してそのデータをインデックス登録することです。お客様のリポジトリ内のデータの規模と配置に基づいて走査戦略を実装してください。お客様独自の戦略を設計することも、SDK に実装されている以下の戦略から選択することもできます。

フル走査戦略

リポジトリ全体をスキャンして、すべてのアイテムを無分別にインデックス登録する戦略です。フル走査は、リポジトリの規模が小さく、インデックス登録するたびに全体を走査してもオーバーヘッドを許容できる場合によく使われる戦略です。

フル走査戦略は、概ね静的で階層構造を持たないデータを含む小規模なリポジトリに向いています。変更検出が困難なリポジトリや変更検出機能をサポートしていないリポジトリで使用することもあります。

リスト走査戦略

すべての子ノードを含むリポジトリ全体をスキャンして各アイテムのステータスを確認した後、2 回目のパスで前回のインデックス登録以降に作成または更新されたアイテムのみをインデックス登録する戦略です。リスト走査戦略は、インデックスを更新するたびに全体を走査しなくてもよい場合に、既存のインデックスを増分更新するためによく使われる戦略です。

リスト走査戦略は、変更検出が困難なリポジトリや変更検出機能をサポートしていないリポジトリで、データが階層化されておらず、扱うデータセットが非常に大規模であるようなケースに向いています。

グラフ走査

親ノード全体をスキャンして各アイテムのステータスを確認した後、その後、コネクタは 2 回目のパスを実行し、ルートノード内のアイテムのみが、前回のインデックス登録以降に新規または更新されたアイテムをインデックスに登録します。最後に、コネクタはすべての子 ID を渡し、子ノードの新しいアイテムまたは更新されたアイテムをインデックスに登録します。コネクタは、該当するアイテムがすべて処理されるまで、すべての子ノードを再帰的にスキャンします。この種の走査は、通常、ID をすべてリストすることが現実的でない階層的なリポジトリに対して使われます。

この戦略は、一連のディレクトリやウェブページなど、クロールする必要がある階層データがある場合に適しています。

それぞれの走査戦略は、SDK のテンプレート コネクタクラスによって実装されます。独自の走査戦略を実装することもできますが、このテンプレートを使用すると、コネクタの開発を大幅に迅速化できます。テンプレートを利用してコネクタを作成する場合は、使用する走査戦略に対応するセクションに進んでください。

テンプレート クラスを使用してフル走査コネクタを作成する

Google ドキュメントの当該セクションのコード スニペットは、FullTraversalSample サンプルからの抜粋です。

コネクタのエントリ ポイントを実装する

コネクタのエントリ ポイントは main() メソッドです。このメソッドの主なタスクは、Application クラスのインスタンスを作成し、その start() メソッドを呼び出してコネクタを実行することです。

application.start() を呼び出す前に、IndexingApplication.Builder クラスを使用して FullTraversalConnector テンプレートをインスタンス化します。FullTraversalConnector は、実装するメソッドを含む Repository オブジェクトを受け入れます。次のコード スニペットは、main() メソッドの実装方法を示しています。

FullTraversalSample.java
/**
 * This sample connector uses the Cloud Search SDK template class for a full
 * traversal connector.
 *
 * @param args program command line arguments
 * @throws InterruptedException thrown if an abort is issued during initialization
 */
public static void main(String[] args) throws InterruptedException {
  Repository repository = new SampleRepository();
  IndexingConnector connector = new FullTraversalConnector(repository);
  IndexingApplication application = new IndexingApplication.Builder(connector, args).build();
  application.start();
}

SDK はバックグラウンドで、コネクタの main() メソッドが Application.build を呼び出した後に initConfig() メソッドを呼び出します。initConfig() メソッドは、次のタスクを実行します。

  1. Configuation.isInitialized() メソッドを呼び出して、Configuration が初期化されていないことを確認します。
  2. Google 提供の Key-Value ペアで Configuration オブジェクトを初期化します。各 Key-Value ペアは、Configuration オブジェクト内の ConfigValue オブジェクトに格納されます。

Repository インターフェースを実装する

Repository オブジェクトの唯一の目的は、リポジトリ アイテムを走査してインデックスに登録することです。テンプレートを使用すると、Repository インターフェース内の特定のメソッドをオーバーライドするだけでコンテンツ コネクタを作成できます。オーバーライドするメソッドは、使用するテンプレートと走査戦略によって異なります。FullTraversalConnector については、次のメソッドをオーバーライドします。

  • init() メソッド。データ リポジトリの設定と初期化を行うには、init() メソッドをオーバーライドします。

  • getAllDocs() メソッド。データ リポジトリ内のすべてのアイテムを走査してインデックスに登録するには、getAllDocs() メソッドをオーバーライドします。このメソッドは、(お客様の構成で定義した)スケジュール済みの走査ごとに 1 回呼び出されます。

  • (省略可)getChanges() メソッド。リポジトリが変更検出をサポートしている場合は、getChanges() メソッドをオーバーライドします。このメソッドは、(お客様の構成で定義した)スケジュール済みの増分走査ごとに 1 回呼び出され、変更されたアイテムを取得してインデックス登録します。

  • (省略可)close() メソッド。リポジトリをクリーンアップする必要がある場合は、close() メソッドをオーバーライドします。このメソッドは、コネクタのシャットダウン時に 1 回呼び出されます。

Repository オブジェクトの各メソッドは、なんらかのタイプの ApiOperation オブジェクトを返します。ApiOperation オブジェクトは、単一または複数の IndexingService.indexItem() 呼び出しの形式でアクションを実行し、リポジトリの実際のインデックス登録を実行します。

カスタム構成パラメータを取得する

コネクタの構成処理の一環として、Configuration オブジェクトからカスタム パラメータを取得する必要があります。このタスクは通常、Repository クラスの init() メソッドで実行します。

Configuration クラスには、構成からさまざまなデータ型を取得するためのメソッドがいくつかあります。各メソッドは ConfigValue オブジェクトを返します。次に、ConfigValue オブジェクトの get() メソッドを使用して実際の値を取得します。次の FullTraversalSample のスニペットは、Configuration オブジェクトから単一のカスタム整数値を取得する方法を示しています。

FullTraversalSample.java
@Override
public void init(RepositoryContext context) {
  log.info("Initializing repository");
  numberOfDocuments = Configuration.getInteger("sample.documentCount", 10).get();
}

複数の値を含むパラメータを取得して解析するには、Configuration クラスの型パーサーのいずれかを使用して、データを個別のチャンクに解析します。チュートリアル コネクタからの次のスニペットでは、getMultiValue メソッドを使用して GitHub リポジトリ名のリストを取得します。

GithubRepository.java
ConfigValue<List<String>> repos = Configuration.getMultiValue(
    "github.repos",
    Collections.emptyList(),
    Configuration.STRING_PARSER);

フル走査を実行する

getAllDocs() をオーバーライドしてフル走査を実行し、リポジトリをインデックスに登録します。getAllDocs() メソッドはチェックポイントを受け入れます。チェックポイントは、プロセスが中断された場合に特定のアイテムからインデックス登録を再開する目的で使用します。リポジトリ内のアイテムごとに、getAllDocs() メソッド内で次の操作を行います。

  1. 権限を設定します。
  2. インデックス登録するアイテムのメタデータを設定する。
  3. メタデータとアイテムを結合して、インデックス登録可能な 1 つの RepositoryDoc にします。
  4. インデックス登録可能な各アイテムを getAllDocs() メソッドから返されるイテレータにパッケージ化する。なお、getAllDocs() は実際には CheckpointCloseableIterable を返します。これは ApiOperation オブジェクトの反復処理であり、各オブジェクトは RepositoryDoc に対して実行された API リクエスト(インデックス作成など)を表します。

アイテムのセットが大きすぎて 1 回の呼び出しで処理できない場合は、チェックポイントを追加して hasMore(true) を設定し、インデックス登録可能なアイテムがまだあることを示します。

アイテムへのアクセス許可を設定する

リポジトリは、アイテムにアクセスできるユーザーまたはグループを識別するためにアクセス制御リスト(ACL)を使用します。ACL は、アイテムにアクセスできるグループまたはユーザーの ID のリストです。

リポジトリで使用される ACL を複製して、アイテムにアクセスできるユーザーのみが検索結果内でそのアイテムを表示できるようにする必要があります。アイテムをインデックス登録する際は、アイテムの ACL を含めてください。そうすることで、アイテムに対する適切なレベルのアクセス権を Google Cloud Search に提供するために必要な情報が得られます。

Content Connector SDK は、リポジトリの ACL をモデル化するために必要な一連の ACL クラスやメソッドを潤沢に提供しているため、ほとんどのリポジトリに対応できます。アイテムをインデックス登録するときは、リポジトリ内の各アイテムの ACL を分析して、Google Cloud Search の対応する ACL を作成する必要があります。リポジトリの ACL で ACL の継承といったコンセプトが用いられている場合、その ACL をモデル化するのは厄介な作業になるかもしれません。Google Cloud Search の ACL の詳細は、Google Cloud Search の ACL を参照してください。

注: Cloud Search の Indexing API がサポートしているのは単一ドメインの ACL であって、クロスドメインの ACL ではありません。ACL で各項目へのアクセスを設定するには、Acl.Builder クラスを使用します。フル走査のサンプルから抜粋した次のコード スニペットを使用すると、検索を行う際に、すべてのユーザーまたは「プリンシパル」(getCustomerPrincipal())をすべてのアイテム(.setReaders())の「リーダー」にすることができます。

FullTraversalSample.java
// Make the document publicly readable within the domain
Acl acl = new Acl.Builder()
    .setReaders(Collections.singletonList(Acl.getCustomerPrincipal()))
    .build();

リポジトリの ACL を適切にモデル化するには、ACL について理解する必要があります。たとえば、あるファイル システムのファイルをインデックス登録するとき、そのファイル システムである種の継承モデルが用いられているために、子フォルダが親フォルダからアクセス権を継承する場合があります。ACL の継承をモデル化するためには、Google Cloud Search の ACL で解説している追加情報が必要です。

アイテムのメタデータを設定する

メタデータは Item オブジェクトに格納されます。Item を作成するには、少なくとも一意の文字列 ID、アイテムタイプ、ACL、URL、アイテムのバージョンが必要です。次のコード スニペットは、IndexingItemBuilder ヘルパークラスを使用して Item を作成する方法を示しています。

FullTraversalSample.java
// Url is required. Use google.com as a placeholder for this sample.
String viewUrl = "https://www.google.com";

// Version is required, set to current timestamp.
byte[] version = Longs.toByteArray(System.currentTimeMillis());

// Using the SDK item builder class to create the document with appropriate attributes
// (this can be expanded to include metadata fields etc.)
Item item = IndexingItemBuilder.fromConfiguration(Integer.toString(id))
    .setItemType(IndexingItemBuilder.ItemType.CONTENT_ITEM)
    .setAcl(acl)
    .setSourceRepositoryUrl(IndexingItemBuilder.FieldOrValue.withValue(viewUrl))
    .setVersion(version)
    .build();

インデックス登録可能なアイテムを作成する

アイテムのメタデータを設定すると、RepositoryDoc.Builder クラスを使用して実際のインデックス登録可能なアイテムを作成できます。次の例は、単一のインデックス登録可能なアイテムを作成する方法を示しています。

FullTraversalSample.java
// For this sample, content is just plain text
String content = String.format("Hello world from sample doc %d", id);
ByteArrayContent byteContent = ByteArrayContent.fromString("text/plain", content);

// Create the fully formed document
RepositoryDoc doc = new RepositoryDoc.Builder()
    .setItem(item)
    .setContent(byteContent, IndexingService.ContentFormat.TEXT)
    .build();

RepositoryDocApiOperation の一種で、実際の IndexingService.indexItem() リクエストを実行します。

また、RepositoryDoc.Builder クラスの setRequestMode() メソッドを使用して、インデックス登録リクエストを ASYNCHRONOUS または SYNCHRONOUS として識別することもできます。

ASYNCHRONOUS
非同期モードでは、インデックス登録からサービス提供までのレイテンシが長くなり、インデックス登録リクエストに対する大量のスループット割り当てに対応できます。リポジトリ全体の最初のインデックス登録(バックフィル)には、非同期モードをおすすめします。
SYNCHRONOUS
同期モードでは、インデックス登録からサービス提供までのレイテンシが短縮され、限られたスループット割り当てに対応します。同期モードは、リポジトリの更新や変更をインデックス登録するケースで使うことをおすすめします。指定しない場合、リクエスト モードはデフォルトで SYNCHRONOUS になります。

イテレータ内のインデックス登録可能な各アイテムをパッケージ化する

getAllDocs() メソッドは、RepositoryDoc オブジェクトの Iterator(具体的には CheckpointCloseableIterable)を返します。イテレータを作成して返すには、CheckpointClosableIterableImpl.Builder クラスを使用します。次のコード スニペットは、イテレータを構築して返す方法を示しています。

FullTraversalSample.java
CheckpointCloseableIterable<ApiOperation> iterator =
  new CheckpointCloseableIterableImpl.Builder<>(allDocs).build();

SDK は、イテレータの範囲に含まれる各インデックス登録呼び出しを実行します。

次のステップ

必要に応じて次の手順を行います。

テンプレート クラスを使用してリスト走査コネクタを作成する

Cloud Search インデックス登録キューの目的は、リポジトリ内の各アイテムの ID(および必要に応じてハッシュ値)を保持することです。リスト走査コネクタは、Google Cloud Search インデックス登録キューにアイテム ID を push し、インデックス登録のためにそこから 1 つずつ取得します。Google Cloud Search はキューを維持管理し、キューの内容を比較することでアイテムのステータス(アイテムがリポジトリから削除済みかどうかなど)を確認します。Cloud Search インデックス登録キューの詳細については、Cloud Search インデックス登録キューをご覧ください。

ドキュメントの当該セクションのコード スニペットは、ListTraversalSample サンプルからの抜粋です。

コネクタのエントリ ポイントを実装する

コネクタのエントリ ポイントは main() メソッドです。このメソッドの主なタスクは、Application クラスのインスタンスを作成し、その start() メソッドを呼び出してコネクタを実行することです。

application.start() を呼び出す前に、IndexingApplication.Builder クラスを使用して ListingConnector テンプレートをインスタンス化します。ListingConnector は、実装するメソッドを含む Repository オブジェクトを受け入れます。次のスニペットは、ListingConnector とそれに関連する Repository をインスタンス化する方法を示しています。

ListTraversalSample.java
/**
 * This sample connector uses the Cloud Search SDK template class for a
 * list traversal connector.
 *
 * @param args program command line arguments
 * @throws InterruptedException thrown if an abort is issued during initialization
 */
public static void main(String[] args) throws InterruptedException {
  Repository repository = new SampleRepository();
  IndexingConnector connector = new ListingConnector(repository);
  IndexingApplication application = new IndexingApplication.Builder(connector, args).build();
  application.start();
}

SDK はバックグラウンドで、コネクタの main() メソッドが Application.build を呼び出した後に initConfig() メソッドを呼び出します。initConfig() メソッド:

  1. Configuation.isInitialized() メソッドを呼び出して、Configuration が初期化されていないことを確認します。
  2. Google 提供の Key-Value ペアで Configuration オブジェクトを初期化します。各 Key-Value ペアは、Configuration オブジェクト内の ConfigValue オブジェクトに格納されます。

Repository インターフェースを実装する

Repository オブジェクトの唯一の目的は、リポジトリ アイテムを走査してインデックスに登録することです。テンプレートを使用すると、Repository インターフェース内の特定のメソッドをオーバーライドするだけでコンテンツ コネクタを作成できます。オーバーライドするメソッドは、使用するテンプレートと走査戦略によって異なります。ListingConnector の場合は、次のメソッドをオーバーライドします。

  • init() メソッド。データ リポジトリの設定と初期化を行うには、init() メソッドをオーバーライドします。

  • getIds() メソッド。リポジトリ内のすべてのレコードの ID とハッシュ値を取得するには、getIds() メソッドをオーバーライドします。

  • getDoc() メソッド。インデックス内のアイテムを追加、更新、変更、削除するには、getDoc() メソッドをオーバーライドします。

  • (省略可)getChanges() メソッド。リポジトリが変更検出をサポートしている場合は、getChanges() メソッドをオーバーライドします。このメソッドは、(お客様の構成で定義した)スケジュール済みの増分走査ごとに 1 回呼び出され、変更されたアイテムを取得してインデックス登録します。

  • (省略可)close() メソッド。リポジトリをクリーンアップする必要がある場合は、close() メソッドをオーバーライドします。このメソッドは、コネクタのシャットダウン時に 1 回呼び出されます。

Repository オブジェクトの各メソッドは、なんらかのタイプの ApiOperation オブジェクトを返します。ApiOperation オブジェクトは、単一または複数の IndexingService.indexItem() 呼び出しの形式でアクションを実行し、リポジトリの実際のインデックス登録を実行します。

カスタム構成パラメータを取得する

コネクタの構成処理の一環として、Configuration オブジェクトからカスタム パラメータを取得する必要があります。このタスクは通常、Repository クラスの init() メソッドで実行します。

Configuration クラスには、構成からさまざまなデータ型を取得するためのメソッドがいくつかあります。各メソッドは ConfigValue オブジェクトを返します。次に、ConfigValue オブジェクトの get() メソッドを使用して実際の値を取得します。次の FullTraversalSample のスニペットは、Configuration オブジェクトから単一のカスタム整数値を取得する方法を示しています。

FullTraversalSample.java
@Override
public void init(RepositoryContext context) {
  log.info("Initializing repository");
  numberOfDocuments = Configuration.getInteger("sample.documentCount", 10).get();
}

複数の値を含むパラメータを取得して解析するには、Configuration クラスの型パーサーのいずれかを使用して、データを個別のチャンクに解析します。チュートリアル コネクタからの次のスニペットでは、getMultiValue メソッドを使用して GitHub リポジトリ名のリストを取得します。

GithubRepository.java
ConfigValue<List<String>> repos = Configuration.getMultiValue(
    "github.repos",
    Collections.emptyList(),
    Configuration.STRING_PARSER);

リスト走査を実行する

getIds() メソッドをオーバーライドして、リポジトリ内のすべてのレコードの ID とハッシュ値を取得します。getIds() メソッドはチェックポイントを受け入れます。チェックポイントは、プロセスが中断された場合に特定のアイテムからインデックス登録を再開する目的で使用します。

次に、getDoc() メソッドをオーバーライドして、Cloud Search インデックス登録キュー内の各アイテムを処理します。

アイテムの ID とハッシュ値を push する

getIds() をオーバーライドして、アイテム ID とそれに関連するコンテンツ ハッシュ値をリポジトリから取得します。その後、ID とハッシュ値のペアをパッケージ化して、Cloud Search インデックス登録キューに対する push 操作リクエストを作成します。通常、ルート(または親)の ID が最初に push され、続いて子の ID が push されます。こうしてアイテムの階層全体が処理されます。

getIds() メソッドは、インデックスに登録する最後のアイテムを表すチェックポイントを受け取ります。チェックポイントは、プロセスが中断された場合に特定のアイテムからインデックス登録を再開する目的で使用します。リポジトリ内のアイテムごとに、getIds() メソッド内で次の操作を行います。

  • 各アイテムの ID と関連ハッシュ値をリポジトリから取得する。
  • 各 ID とハッシュ値のペアを PushItems にパッケージ化します。
  • PushItemsgetIds() メソッドから返されるイテレータに結合します。getIds() は実際には CheckpointCloseableIterable を返します。これは ApiOperation オブジェクトの反復処理であり、各オブジェクトは RepositoryDoc に対して実行された API リクエスト(キューへのアイテムの push など)を表します。

次のコード スニペットは、各アイテム ID とハッシュ値を取得して PushItems に挿入する方法を示しています。PushItems は、アイテムを Cloud Search インデックス登録キューに push する ApiOperation リクエストです。

ListTraversalSample.java
PushItems.Builder allIds = new PushItems.Builder();
for (Map.Entry<Integer, Long> entry : this.documents.entrySet()) {
  String documentId = Integer.toString(entry.getKey());
  String hash = this.calculateMetadataHash(entry.getKey());
  PushItem item = new PushItem().setMetadataHash(hash);
  log.info("Pushing " + documentId);
  allIds.addPushItem(documentId, item);
}

次のコード スニペットは、PushItems.Builder クラスを使用して、ID とハッシュ値を 1 つのプッシュ ApiOperation にパッケージ化する方法を示しています。

ListTraversalSample.java
ApiOperation pushOperation = allIds.build();
CheckpointCloseableIterable<ApiOperation> iterator =
  new CheckpointCloseableIterableImpl.Builder<>(
      Collections.singletonList(pushOperation))
  .build();
return iterator;

アイテムは、Cloud Search インデックス登録キューに push 後、さらに処理されます。

各アイテムを取得して処理する

getDoc() をオーバーライドして、Cloud Search インデックス登録キュー内の各アイテムを処理します。ソース リポジトリでは、新しいアイテム、変更アイテム、変更されていないアイテム、またはアイテムが存在できなくなっています。新規または変更済みの各アイテムを取得してインデックス登録します。ソース リポジトリにもう存在しないアイテムをインデックスから取り除きます。

getDoc() メソッドは、Google Cloud Search インデックス登録キューからアイテムを受け取ります。キュー内のアイテムごとに、getDoc() メソッド内で次の手順を行います。

  1. Cloud Search インデックス登録キュー内のアイテムの ID がリポジトリに存在するかどうかを確認し、存在しなければアイテムをインデックスから削除する。

  2. インデックス登録対象のアイテムのステータスをポーリングし、アイテムが未変更(ACCEPTED)の場合は何もしない。

  3. 変更済みまたは新規のアイテムをインデックス登録する:

    1. アクセス許可を設定する。
    2. インデックス登録するアイテムのメタデータを設定する。
    3. メタデータとアイテムを結合して、インデックス登録可能な 1 つの RepositoryDoc にします。
    4. RepositoryDoc を返します。

注: ListingConnector テンプレートは、getDoc() メソッドで null を返すことをサポートしていません。null を返すと、NullPointerException. になります。

削除対象のアイテムを処理する

次のコード スニペットは、アイテムがリポジトリに存在するかどうか確認して存在しない場合に削除する方法を示しています。

ListTraversalSample.java
String resourceName = item.getName();
int documentId = Integer.parseInt(resourceName);

if (!documents.containsKey(documentId)) {
  // Document no longer exists -- delete it
  log.info(() -> String.format("Deleting document %s", item.getName()));
  return ApiOperations.deleteItem(resourceName);
}

documents は、リポジトリを表すデータ構造です。documentIDdocuments で見つからない場合は、APIOperations.deleteItem(resourceName) を返してインデックスからアイテムを削除します。

未変更のアイテムを処理する

次のコード スニペットは、Cloud Search インデックス登録キュー内のアイテムのステータスをポーリングし、未変更のアイテムを処理する方法を示しています。

ListTraversalSample.java
String currentHash = this.calculateMetadataHash(documentId);
if (this.canSkipIndexing(item, currentHash)) {
  // Document neither modified nor deleted, ack the push
  log.info(() -> String.format("Document %s not modified", item.getName()));
  PushItem pushItem = new PushItem().setType("NOT_MODIFIED");
  return new PushItems.Builder().addPushItem(resourceName, pushItem).build();
}

未変更アイテムであるか確認するには、変更の可能性を示すアイテムのステータスとその他のメタデータを調べます。この例では、アイテムが変更されたかどうかを確認するために、メタデータであるハッシュを使用しています。

ListTraversalSample.java
/**
 * Checks to see if an item is already up to date
 *
 * @param previousItem Polled item
 * @param currentHash  Metadata hash of the current github object
 * @return PushItem operation
 */
private boolean canSkipIndexing(Item previousItem, String currentHash) {
  if (previousItem.getStatus() == null || previousItem.getMetadata() == null) {
    return false;
  }
  String status = previousItem.getStatus().getCode();
  String previousHash = previousItem.getMetadata().getHash();
  return "ACCEPTED".equals(status)
      && previousHash != null
      && previousHash.equals(currentHash);
}

アイテムへのアクセス許可を設定する

リポジトリは、アイテムにアクセスできるユーザーまたはグループを識別するためにアクセス制御リスト(ACL)を使用します。ACL は、アイテムにアクセスできるグループまたはユーザーの ID のリストです。

リポジトリで使用される ACL を複製して、アイテムにアクセスできるユーザーのみが検索結果内でそのアイテムを表示できるようにする必要があります。アイテムをインデックス登録する際は、アイテムの ACL を含めてください。そうすることで、アイテムに対する適切なレベルのアクセス権を Google Cloud Search に提供するために必要な情報が得られます。

Content Connector SDK は、リポジトリの ACL をモデル化するために必要な一連の ACL クラスやメソッドを潤沢に提供しているため、ほとんどのリポジトリに対応できます。アイテムをインデックス登録するときは、リポジトリ内の各アイテムの ACL を分析して、Google Cloud Search の対応する ACL を作成する必要があります。リポジトリの ACL で ACL の継承といったコンセプトが用いられている場合、その ACL をモデル化するのは厄介な作業になるかもしれません。Google Cloud Search の ACL の詳細は、Google Cloud Search の ACL を参照してください。

注: Cloud Search の Indexing API がサポートしているのは単一ドメインの ACL であって、クロスドメインの ACL ではありません。ACL で各項目へのアクセスを設定するには、Acl.Builder クラスを使用します。フル走査のサンプルから抜粋した次のコード スニペットを使用すると、検索を行う際に、すべてのユーザーまたは「プリンシパル」(getCustomerPrincipal())をすべてのアイテム(.setReaders())の「リーダー」にすることができます。

FullTraversalSample.java
// Make the document publicly readable within the domain
Acl acl = new Acl.Builder()
    .setReaders(Collections.singletonList(Acl.getCustomerPrincipal()))
    .build();

リポジトリの ACL を適切にモデル化するには、ACL について理解する必要があります。たとえば、あるファイル システムのファイルをインデックス登録するとき、そのファイル システムである種の継承モデルが用いられているために、子フォルダが親フォルダからアクセス権を継承する場合があります。ACL の継承をモデル化するためには、Google Cloud Search の ACL で解説している追加情報が必要です。

アイテムのメタデータを設定する

メタデータは Item オブジェクトに格納されます。Item を作成するには、少なくとも一意の文字列 ID、アイテムタイプ、ACL、URL、アイテムのバージョンが必要です。次のコード スニペットは、IndexingItemBuilder ヘルパークラスを使用して Item を作成する方法を示しています。

ListTraversalSample.java
// Url is required. Use google.com as a placeholder for this sample.
String viewUrl = "https://www.google.com";

// Version is required, set to current timestamp.
byte[] version = Longs.toByteArray(System.currentTimeMillis());

// Set metadata hash so queue can detect changes
String metadataHash = this.calculateMetadataHash(documentId);

// Using the SDK item builder class to create the document with
// appropriate attributes. This can be expanded to include metadata
// fields etc.
Item item = IndexingItemBuilder.fromConfiguration(Integer.toString(documentId))
    .setItemType(IndexingItemBuilder.ItemType.CONTENT_ITEM)
    .setAcl(acl)
    .setSourceRepositoryUrl(IndexingItemBuilder.FieldOrValue.withValue(viewUrl))
    .setVersion(version)
    .setHash(metadataHash)
    .build();

インデックス登録可能なアイテムを作成する

アイテムのメタデータを設定すると、RepositoryDoc.Builder を使用して実際のインデックス登録可能なアイテムを作成できます。次の例は、単一のインデックス登録可能なアイテムを作成する方法を示しています。

ListTraversalSample.java
// For this sample, content is just plain text
String content = String.format("Hello world from sample doc %d", documentId);
ByteArrayContent byteContent = ByteArrayContent.fromString("text/plain", content);

// Create the fully formed document
RepositoryDoc doc = new RepositoryDoc.Builder()
    .setItem(item)
    .setContent(byteContent, IndexingService.ContentFormat.TEXT)
    .build();

RepositoryDoc は、実際の IndexingService.indexItem() リクエストを実行する ApiOperation の一種です。

また、RepositoryDoc.Builder クラスの setRequestMode() メソッドを使用して、インデックス登録リクエストを ASYNCHRONOUS または SYNCHRONOUS として識別することもできます。

ASYNCHRONOUS
非同期モードでは、インデックス登録からサービス提供までのレイテンシが長くなり、インデックス登録リクエストに対する大量のスループット割り当てに対応できます。リポジトリ全体の最初のインデックス登録(バックフィル)には、非同期モードをおすすめします。
SYNCHRONOUS
同期モードでは、インデックス登録からサービス提供までのレイテンシが短縮され、限られたスループット割り当てに対応します。同期モードは、リポジトリの更新や変更をインデックス登録するケースで使うことをおすすめします。指定しない場合、リクエスト モードはデフォルトで SYNCHRONOUS になります。

次のステップ

必要に応じて次の手順を行います。

  • (省略可)シャットダウン前にリソースをすべて解放する close() メソッドを実装します。
  • (省略可)Content Connector SDK で ID コネクタを作成する

テンプレート クラスを使用してグラフ走査コネクタを作成する

Cloud Search インデックス登録キューの目的は、リポジトリ内の各アイテムの ID(および必要に応じてハッシュ値)を保持することです。グラフ走査コネクタは、アイテム ID を Google Cloud Search インデックス登録キューに push し、インデックス登録のために 1 つずつ取得します。Google Cloud Search はキューを維持管理し、キューの内容を比較することでアイテムのステータス(アイテムがリポジトリから削除済みかどうかなど)を確認します。Cloud Search インデックス登録キューについて詳しくは、Google Cloud Search インデックス登録キューをご覧ください。

インデックス登録の過程で、アイテムのコンテンツがデータ リポジトリからフェッチされ、すべての子アイテムの ID がキューに push されます。コネクタによる親 ID と子 ID の処理は、すべてのアイテムが処理されるまで再帰的に進行します。

Google ドキュメントの当該セクションのコード スニペットは、GraphTraversalSample サンプルからの抜粋です。

コネクタのエントリ ポイントを実装する

コネクタのエントリ ポイントは main() メソッドです。このメソッドの主なタスクは、Application クラスのインスタンスを作成し、その start() メソッドを呼び出してコネクタを実行することです。

application.start() を呼び出す前に、IndexingApplication.Builder クラスを使用して ListingConnector テンプレートをインスタンス化します。ListingConnector は、実装するメソッドを含む Repository オブジェクトを受け入れます。

次のスニペットは、ListingConnector とそれに関連する Repository をインスタンス化する方法を示しています。

GraphTraversalSample.java
/**
 * This sample connector uses the Cloud Search SDK template class for a graph
 * traversal connector.
 *
 * @param args program command line arguments
 * @throws InterruptedException thrown if an abort is issued during initialization
 */
public static void main(String[] args) throws InterruptedException {
  Repository repository = new SampleRepository();
  IndexingConnector connector = new ListingConnector(repository);
  IndexingApplication application = new IndexingApplication.Builder(connector, args).build();
  application.start();
}

SDK はバックグラウンドで、コネクタの main() メソッドが Application.build を呼び出した後に initConfig() メソッドを呼び出します。initConfig() メソッド:

  1. Configuation.isInitialized() メソッドを呼び出して、Configuration が初期化されていないことを確認します。
  2. Google 提供の Key-Value ペアで Configuration オブジェクトを初期化します。各 Key-Value ペアは、Configuration オブジェクト内の ConfigValue オブジェクトに格納されます。

Repository インターフェースを実装する

Repository オブジェクトの唯一の目的は、リポジトリ アイテムを走査してインデックス登録することです。テンプレートを使用すると、Repository インターフェース内の特定のメソッドをオーバーライドするだけでコンテンツ コネクタを作成できます。オーバーライドするメソッドは、使用するテンプレートと走査戦略によって異なります。ListingConnector では、次のメソッドをオーバーライドします。

  • init() メソッド。データ リポジトリの設定と初期化を行うには、init() メソッドをオーバーライドします。

  • getIds() メソッド。リポジトリ内のすべてのレコードの ID とハッシュ値を取得するには、getIds() メソッドをオーバーライドします。

  • getDoc() メソッド。インデックス内のアイテムを追加、更新、変更、削除するには、getDoc() メソッドをオーバーライドします。

  • (省略可)getChanges() メソッド。リポジトリが変更検出をサポートしている場合は、getChanges() メソッドをオーバーライドします。このメソッドは、(お客様の構成で定義した)スケジュール済みの増分走査ごとに 1 回呼び出され、変更されたアイテムを取得してインデックス登録します。

  • (省略可)close() メソッド。リポジトリをクリーンアップする必要がある場合は、close() メソッドをオーバーライドします。このメソッドは、コネクタのシャットダウン時に 1 回呼び出されます。

Repository オブジェクトの各メソッドは、なんらかのタイプの ApiOperation オブジェクトを返します。ApiOperation オブジェクトは、単一または複数の IndexingService.indexItem() 呼び出しの形式でアクションを実行し、リポジトリの実際のインデックス登録を行います。

カスタム構成パラメータを取得する

コネクタの構成処理の一環として、Configuration オブジェクトからカスタム パラメータを取得する必要があります。このタスクは通常、Repository クラスの init() メソッドで実行します。

Configuration クラスには、構成からさまざまなデータ型を取得するためのメソッドがいくつかあります。各メソッドは ConfigValue オブジェクトを返します。次に、ConfigValue オブジェクトの get() メソッドを使用して実際の値を取得します。次の FullTraversalSample のスニペットは、Configuration オブジェクトから単一のカスタム整数値を取得する方法を示しています。

FullTraversalSample.java
@Override
public void init(RepositoryContext context) {
  log.info("Initializing repository");
  numberOfDocuments = Configuration.getInteger("sample.documentCount", 10).get();
}

複数の値を含むパラメータを取得して解析するには、Configuration クラスの型パーサーのいずれかを使用して、データを個別のチャンクに解析します。チュートリアル コネクタからの次のスニペットでは、getMultiValue メソッドを使用して GitHub リポジトリ名のリストを取得します。

GithubRepository.java
ConfigValue<List<String>> repos = Configuration.getMultiValue(
    "github.repos",
    Collections.emptyList(),
    Configuration.STRING_PARSER);

グラフ走査を実行する

getIds() メソッドをオーバーライドして、リポジトリ内のすべてのレコードの ID とハッシュ値を取得します。getIds() メソッドはチェックポイントを受け入れます。チェックポイントは、プロセスが中断された場合に特定のアイテムからインデックス登録を再開する目的で使用します。

次に、getDoc() メソッドをオーバーライドして、Cloud Search インデックス登録キュー内の各アイテムを処理します。

アイテムの ID とハッシュ値を push する

getIds() をオーバーライドして、アイテム ID とそれに関連するコンテンツ ハッシュ値をリポジトリから取得します。その後、ID とハッシュ値のペアをパッケージ化して、Cloud Search インデックス登録キューに対する push 操作リクエストを作成します。通常、ルート(または親)の ID が最初に push され、続いて子の ID が push されます。こうしてアイテムの階層全体が処理されます。

getIds() メソッドは、インデックスに登録する最後のアイテムを表すチェックポイントを受け取ります。チェックポイントは、プロセスが中断された場合に特定のアイテムからインデックス登録を再開する目的で使用します。リポジトリ内のアイテムごとに、getIds() メソッド内で次の操作を行います。

  • 各アイテムの ID と関連ハッシュ値をリポジトリから取得する。
  • 各 ID とハッシュ値のペアを PushItems にパッケージ化します。
  • PushItemsgetIds() メソッドから返されるイテレータに結合します。getIds() は実際には CheckpointCloseableIterable を返します。これは ApiOperation オブジェクトの反復処理であり、各オブジェクトは RepositoryDoc に対して実行された API リクエスト(キューへのアイテムの push など)を表します。

次のコード スニペットは、各商品アイテム ID とハッシュ値を取得して PushItems に挿入する方法を示しています。PushItems は、アイテムを Cloud Search インデックス登録キューに push する ApiOperation リクエストです。

GraphTraversalSample.java
PushItems.Builder allIds = new PushItems.Builder();
PushItem item = new PushItem();
allIds.addPushItem("root", item);

次のコード スニペットは、PushItems.Builder クラスを使用して、ID とハッシュ値を 1 つのプッシュ ApiOperation にパッケージ化する方法を示しています。

GraphTraversalSample.java
ApiOperation pushOperation = allIds.build();
CheckpointCloseableIterable<ApiOperation> iterator =
  new CheckpointCloseableIterableImpl.Builder<>(
      Collections.singletonList(pushOperation))
  .build();

アイテムは、Cloud Search インデックス登録キューに push 後、さらに処理されます。

各アイテムを取得して処理する

getDoc() をオーバーライドして、Cloud Search インデックス登録キュー内の各アイテムを処理します。ソース リポジトリでは、新しいアイテム、変更アイテム、変更されていないアイテム、またはアイテムが存在できなくなっています。新規または変更済みの各アイテムを取得してインデックス登録します。ソース リポジトリにもう存在しないアイテムをインデックスから取り除きます。

getDoc() メソッドは、Cloud Search インデックス登録キューからアイテムを受け取ります。キュー内のアイテムごとに、getDoc() メソッド内で次の手順を行います。

  1. Cloud Search インデックス登録キュー内のアイテムの ID がリポジトリに存在するかどうかを確認し、存在しなければアイテムをインデックスから削除する。存在する場合は、次の手順に進む。

  2. 変更済みまたは新規のアイテムをインデックス登録する:

    1. アクセス許可を設定する。
    2. インデックス登録するアイテムのメタデータを設定する。
    3. メタデータとアイテムを結合して、インデックス登録可能な 1 つの RepositoryDoc にします。
    4. 子の ID を Cloud Search インデックス登録キューに入れて処理を続ける。
    5. RepositoryDoc を返します。

削除対象のアイテムを処理する

次のコード スニペットは、アイテムがインデックスに存在するかどうか確認して存在しない場合に削除する方法を示しています。

GraphTraversalSample.java
String resourceName = item.getName();
if (documentExists(resourceName)) {
  return buildDocumentAndChildren(resourceName);
}
// Document doesn't exist, delete it
log.info(() -> String.format("Deleting document %s", resourceName));
return ApiOperations.deleteItem(resourceName);

アイテムへのアクセス許可を設定する

リポジトリは、アイテムにアクセスできるユーザーまたはグループを識別するためにアクセス制御リスト(ACL)を使用します。ACL は、アイテムにアクセスできるグループまたはユーザーの ID のリストです。

リポジトリで使用される ACL を複製して、アイテムにアクセスできるユーザーのみが検索結果内でそのアイテムを表示できるようにする必要があります。アイテムをインデックス登録する際は、アイテムの ACL を含めてください。そうすることで、アイテムに対する適切なレベルのアクセス権を Google Cloud Search に提供するために必要な情報が得られます。

Content Connector SDK は、リポジトリの ACL をモデル化するために必要な一連の ACL クラスやメソッドを潤沢に提供しているため、ほとんどのリポジトリに対応できます。アイテムをインデックス登録するときは、リポジトリ内の各アイテムの ACL を分析して、Google Cloud Search の対応する ACL を作成する必要があります。リポジトリの ACL で ACL の継承といったコンセプトが用いられている場合、その ACL をモデル化するのは厄介な作業になるかもしれません。Google Cloud Search の ACL の詳細は、Google Cloud Search の ACL を参照してください。

注: Cloud Search の Indexing API がサポートしているのは単一ドメインの ACL であって、クロスドメインの ACL ではありません。ACL で各項目へのアクセスを設定するには、Acl.Builder クラスを使用します。フル走査のサンプルから抜粋した次のコード スニペットを使用すると、検索を行う際に、すべてのユーザーまたは「プリンシパル」(getCustomerPrincipal())をすべてのアイテム(.setReaders())の「リーダー」にすることができます。

FullTraversalSample.java
// Make the document publicly readable within the domain
Acl acl = new Acl.Builder()
    .setReaders(Collections.singletonList(Acl.getCustomerPrincipal()))
    .build();

リポジトリの ACL を適切にモデル化するには、ACL について理解する必要があります。たとえば、あるファイル システムのファイルをインデックス登録するとき、そのファイル システムである種の継承モデルが用いられているために、子フォルダが親フォルダからアクセス権を継承する場合があります。ACL の継承をモデル化するためには、Google Cloud Search の ACL で解説している追加情報が必要です。

アイテムのメタデータを設定する

メタデータは Item オブジェクトに格納されます。Item を作成するには、少なくとも一意の文字列 ID、アイテムタイプ、ACL、URL、アイテムのバージョンが必要です。次のコード スニペットは、IndexingItemBuilder ヘルパークラスを使用して Item を作成する方法を示しています。

GraphTraversalSample.java
// Url is required. Use google.com as a placeholder for this sample.
String viewUrl = "https://www.google.com";

// Version is required, set to current timestamp.
byte[] version = Longs.toByteArray(System.currentTimeMillis());

// Using the SDK item builder class to create the document with
// appropriate attributes. This can be expanded to include metadata
// fields etc.
Item item = IndexingItemBuilder.fromConfiguration(documentId)
    .setItemType(IndexingItemBuilder.ItemType.CONTENT_ITEM)
    .setAcl(acl)
    .setSourceRepositoryUrl(IndexingItemBuilder.FieldOrValue.withValue(viewUrl))
    .setVersion(version)
    .build();

インデックス登録可能なアイテムを作成する

アイテムのメタデータを設定すると、RepositoryDoc.Builder を使用して実際のインデックス登録可能なアイテムを作成できます。次の例は、単一のインデックス登録可能なアイテムを作成する方法を示しています。

GraphTraversalSample.java
// For this sample, content is just plain text
String content = String.format("Hello world from sample doc %s", documentId);
ByteArrayContent byteContent = ByteArrayContent.fromString("text/plain", content);

RepositoryDoc.Builder docBuilder = new RepositoryDoc.Builder()
    .setItem(item)
    .setContent(byteContent, IndexingService.ContentFormat.TEXT);

RepositoryDocApiOperation の一種で、実際の IndexingService.indexItem() リクエストを実行します。

また、RepositoryDoc.Builder クラスの setRequestMode() メソッドを使用して、インデックス登録リクエストを ASYNCHRONOUS または SYNCHRONOUS として識別することもできます。

ASYNCHRONOUS
非同期モードでは、インデックス登録からサービス提供までのレイテンシが長くなり、インデックス登録リクエストに対する大量のスループット割り当てに対応できます。リポジトリ全体の最初のインデックス登録(バックフィル)には、非同期モードをおすすめします。
SYNCHRONOUS
同期モードでは、インデックス登録からサービス提供までのレイテンシが短縮され、限られたスループット割り当てに対応します。同期モードは、リポジトリの更新や変更をインデックス登録するケースで使うことをおすすめします。指定しない場合、リクエスト モードはデフォルトで SYNCHRONOUS になります。

子の ID を Cloud Search インデックス登録キューに入れる

次のコード スニペットは、現在処理中の親アイテムの子の ID をキューに入れて処理する方法を示しています。これらの ID は、親アイテムのインデックス登録後に処理されます。

GraphTraversalSample.java
// Queue the child nodes to visit after indexing this document
Set<String> childIds = getChildItemNames(documentId);
for (String id : childIds) {
  log.info(() -> String.format("Pushing child node %s", id));
  PushItem pushItem = new PushItem();
  docBuilder.addChildId(id, pushItem);
}

RepositoryDoc doc = docBuilder.build();

次のステップ

必要に応じて次の手順を行います。

  • (省略可)シャットダウン前にリソースをすべて解放する close() メソッドを実装します。
  • (省略可)Identity Connector SDK で ID コネクタを作成する

REST API を使用してコンテンツ コネクタを作成する

以下のセクションでは、REST API を使用してコンテンツ コネクタを作成する方法を説明します。

使用する走査戦略を決める

コンテンツ コネクタの主な機能は、リポジトリを走査してそのデータをインデックス登録することです。お客様のリポジトリ内のデータの規模と配置に基づいて走査戦略を実装してください。よく使われる走査戦略は以下の 3 つです。

フル走査戦略

リポジトリ全体をスキャンして、すべてのアイテムを無分別にインデックス登録する戦略です。フル走査は、リポジトリの規模が小さく、インデックス登録するたびに全体を走査してもオーバーヘッドを許容できる場合によく使われる戦略です。

フル走査戦略は、概ね静的で階層構造を持たないデータを含む小規模なリポジトリに向いています。変更検出が困難なリポジトリや変更検出機能をサポートしていないリポジトリで使用することもあります。

リスト走査戦略

すべての子ノードを含むリポジトリ全体をスキャンして各アイテムのステータスを確認した後、2 回目のパスで前回のインデックス登録以降に作成または更新されたアイテムのみをインデックス登録する戦略です。リスト走査戦略は、インデックスを更新するたびに全体を走査しなくてもよい場合に、既存のインデックスを増分更新するためによく使われる戦略です。

リスト走査戦略は、変更検出が困難なリポジトリや変更検出機能をサポートしていないリポジトリで、データが階層化されておらず、扱うデータセットが非常に大規模であるようなケースに向いています。

グラフ走査

親ノード全体をスキャンして各アイテムのステータスを確認した後、その後、コネクタは 2 回目のパスを実行し、ルートノード内のアイテムのみが、前回のインデックス登録以降に新規または更新されたアイテムをインデックスに登録します。最後に、コネクタはすべての子 ID を渡し、子ノードの新しいアイテムまたは更新されたアイテムをインデックスに登録します。コネクタは、該当するアイテムがすべて処理されるまで、すべての子ノードを再帰的にスキャンします。この種の走査は、通常、ID をすべてリストすることが現実的でない階層的なリポジトリに対して使われます。

グラフ走査戦略は、一連のディレクトリやウェブページのような階層的なデータに対してクロール操作でデータを収集するケースに向いています。

走査戦略を実装しアイテムをインデックス登録する

Cloud Search のインデックス登録可能なすべての要素は、Cloud Search API では「アイテム」と呼ばれます。アイテムには、ファイル、フォルダ、CSV ファイル内の行、データベース レコードなどがあります。

スキーマを登録した後、次の方法で所定のインデックスを完成できます。

  1. (省略可)items.upload を使用して、インデックス登録用に 100 KiB を超えるファイルをアップロードします。小さいファイルの場合は、items.index を使用してコンテンツを inlineContent として埋め込みます。

  2. (省略可)media.upload を使用して、インデックス登録用のメディア ファイルをアップロードする。

  3. items.index を使用してアイテムをインデックスに登録します。たとえば、スキーマで movie スキーマのオブジェクト定義を使用している場合、単一アイテムのインデックス登録リクエストは次のようになります。

    {
      "name": "datasource/<data_source_id>/items/titanic",
      "acl": {
        "readers": [
          {
            "gsuitePrincipal": {
              "gsuiteDomain": true
            }
          }
        ]
      },
      "metadata": {
        "title": "Titanic",
        "viewUrl": "http://www.imdb.com/title/tt2234155/?ref_=nv_sr_1",
        "objectType": "movie"
      },
      "structuredData": {
        "object": {
          "properties": [
            {
              "name": "movieTitle",
              "textValues": {
                "values": [
                  "Titanic"
                ]
              }
            },
            {
              "name": "releaseDate",
              "dateValues": {
                "values": [
                  {
                    "year": 1997,
                    "month": 12,
                    "day": 19
                  }
                ]
              }
            },
            {
              "name": "actorName",
              "textValues": {
                "values": [
                  "Leonardo DiCaprio",
                  "Kate Winslet",
                  "Billy Zane"
                ]
              }
            },
            {
              "name": "genre",
              "enumValues": {
                "values": [
                  "Drama",
                  "Action"
                ]
              }
            },
            {
              "name": "userRating",
              "integerValues": {
                "values": [
                  8
                ]
              }
            },
            {
              "name": "mpaaRating",
              "textValues": {
                "values": [
                  "PG-13"
                ]
              }
            },
            {
              "name": "duration",
              "textValues": {
                "values": [
                  "3 h 14 min"
                ]
              }
            }
          ]
        }
      },
      "content": {
        "inlineContent": "A seventeen-year-old aristocrat falls in love with a kind but poor artist aboard the luxurious, ill-fated R.M.S. Titanic.",
        "contentFormat": "TEXT"
      },
      "version": "01",
      "itemType": "CONTENT_ITEM"
    }
    
  4. (省略可)items.get 呼び出しを使用して、アイテムがインデックスに登録されていることを確認します。

フル走査を実行するには、リポジトリ全体を定期的に繰り返しインデックス登録します。リストまたはグラフ走査を実行するには、リポジトリの変更を処理するコードを実装する必要があります。

リポジトリの変更を処理する

リポジトリ内の各アイテムを定期的に収集してインデックス登録することで完全な形のインデックスを作成できます。完全な形のインデックスの作成は、インデックスを最新状態に維持するには効果的ですが、リポジトリの規模が大きい場合や階層構造を持つ場合にコストがかかる可能性があります。

インデックス登録呼び出しを使用してリポジトリ全体を毎回繰り返しインデックス登録する代わりに、Google Cloud インデックス登録キューを変更追跡メカニズムとして使用し、変更されたアイテムだけをインデックス登録する方法もあります。後でポーリングして更新できるように、items.push リクエストを使用してアイテムをキューに push できます。Google Cloud インデックス登録キューの詳細については、Google Cloud インデックス登録キューをご覧ください。

Google Cloud Search API の詳細については、Cloud Search API をご覧ください。