ライブ トラフィック対応に向けたサーバーのアップグレード
ここまでは、テスト環境内で Cloud Run にタグ設定サーバーをセットアップしてきました。本番環境での運用に移行する場合は、この章の手順に沿ってアップグレードを行います。
本番トラフィックに対応するには、インスタンスは最低でも 3 つ実行することをおすすめします。最小 3 インスタンス、最大 6 インスタンスの自動スケーリングであれば、毎秒 50~200 件のリクエストに対応可能です(ただし実際のキャパシティは、リクエストによって配信されるタグの数と機能によって異なります)。
サーバーをアップグレードする
サービスの設定を変更する手順:
- Cloud Run を開きます。
- 調整したいサービスを選択します。
- [新しいリビジョンの編集とデプロイ] をクリックします。
- 必要な変更を加えて、[デプロイ] をクリックします。
サービスにカスタム ドメインをマッピングする
サーバーサイド タグ設定の重要な特長として、データを送信してくるウェブサイトのサブドメイン内で稼働できることが挙げられます。
これを、サーバーサイド タグ設定サーバーとウェブサイトの間でファーストパーティ コンテキストが確立された状態と呼びます。
サービスには複数のカスタム ドメインを追加できるため、同じサーバー コンテナで複数のウェブサイトからリクエストを受け取っている場合に便利です。
サーバーサイド環境をウェブサイトのファーストパーティ コンテキストに置くことで得られる主なメリットのひとつは、サーバー コンテナが読み書きするブラウザ Cookie が、ファーストパーティ Cookie 扱いになることです。サードパーティ コンテキストにおける Cookie へのアクセスは現在多くのブラウザで制限されているため、このことはデータ収集の質を大きく高めるのに役立ちます。
サブドメインをサービスにマッピングする
カスタム ドメインをセットアップするには、グローバル外部アプリケーション ロードバランサを使用します。
クライアントサイドのタグのデータ送信先を新ドメインに変更する
アップグレードした環境にカスタム ドメインをマッピングした後は、ブラウザ用タグをアップデートして、デフォルトの Cloud Run ドメインではなく、新しいサブドメインと通信するように設定する必要があります。
タグ マネージャーで「Google アナリティクス: GA4 設定」タグの設定を開き、[サーバー コンテナに送信する] の下の URL を変更します。
ブラウザ用タグをアップデートする方法について詳しくは、この学習コースの第 5 章をご覧ください。
追加のタグをデプロイする
Google アナリティクス 4 のブラウザ用タグからサーバーサイド タグ設定環境へとデータが送られるように設定した後は、このデータフローを他のタグの配信にも使用することができます。
これはサーバーサイド タグ設定に固有の特長です。リクエストをサーバーに送信することで、より効率的でユーザー フレンドリーなタグ設定構成を実現可能です。リクエストはサーバーから各ベンダーへと配信されるため、ウェブコンテナからはベンダーのタグを削除できます。
たとえば、サーバーサイド タグ設定では受信したリクエストを Google アナリティクス 4 クライアントがイベントデータ形式に変換するため、これらのイベントによって発動する Google 広告や Floodlight のタグを作成することが可能です。
上の例では、ウェブブラウザから届いた 1 件のコンバージョン イベントが、3 つの配信先(Google アナリティクス 4、Google 広告、Floodlight)に届けられています。ロジックの処理はサーバーサイドで行われるため、ウェブコンテナ側で Google 広告と Floodlight を別個のマーケティング タグとして追加する必要はありません。
サーバー コンテナにあらかじめ用意されている組み込みのテンプレートに加えて、タグ マネージャーのユーザー コミュニティが作成したさまざまなタグや変数のテンプレートが、コミュニティ テンプレート ギャラリーで提供されています。セキュリティ上の問題を最小限に抑えるため、これらのテンプレートはサンドボックス化された JavaScript で実行されます。さらなるセキュリティ強化策として、ポリシーをセットアップすることも可能です。ポリシーと権限がすべて守られていない限り、テンプレートは実行されません。
次の章へ進む前に追加のタグをセットアップする場合は、よろしければ以下のリソースを参考にしてください。
まとめ
この章では、サーバーサイド タグ設定に不可欠な 2 つの要素について説明しました。
- サーバーのアップグレードおよび構成方法
- ファーストパーティ コンテキスト内でタグ設定を行う方法
これで本番レベルのインフラストラクチャを確立できました。次は、サーバーのモニタリングについて学びましょう。