運転者の注意を道路に向け続ける必要があるため、自動車の通知には他のデバイスと比べて特別な要件が課せられています。
車内通知は、他のデバイスの通知と同じように、システムやアプリからタイムリーで関連性の高い情報を少量だけ伝えるという目的を果たします。ただし、車内通知システムは、ドライバーの注意散漫を最小限に抑えるように設計する必要があります。
通知の数を減らす
運転中の注意力散漫を減らすため、車内のヘッドアップ通知（HUN）には、他のデバイスよりも厳しい制限が設けられています。
車内の HUN は、重要度レベルが「高」以上で、アクション可能かつ時間的制約があるものでなければなりません。また、次の条件の 1 つ以上を満たしている必要があります。
- 安全上重要な
- 運転関連
- コミュニケーション関連
通知センターに表示される通知は、他のデバイスとほぼ同じですが、他の場所で処理されるか、重要度が低いカテゴリは除外されます。さまざまなカテゴリの処理方法について詳しくは、自動車の通知の仕組みをご覧ください。
通知あたりのコンテンツを減らす
ドライバーが通知をすばやく確認してすぐに運転に集中できるように、車内の通知は最も重要な、簡単に把握できる情報のみに絞る必要があります。
テストの結果、ドライバーにとって最も重要な情報は「何」と「誰」であることがわかりました。つまり、通知の内容（メッセージ、通話、ナビゲーションの指示など）と、通知の送信者です。車内の HUN は、これらの要素と、可能な操作の簡単なセットを強調表示します。
シンプルな操作
気を散らさないようにするため、車内の通知には、長押しやユーザーのスワイプ操作の長さに基づく制御などの複雑なコンテキスト制御は含まれません。
また、ほとんどの HUN は、ユーザーが操作しないと、デフォルトの 8 秒間だけ表示されて自動的に閉じられます。このような場合、ほとんどのユーザーは通知センターで後から通知に対応できます。
HUN とのやり取りや通知センターでのやり取りについて詳しくは、自動車の通知の仕組みをご覧ください。
再生可能なメッセージ通知
ドライバーが運転に集中しながらメッセージを簡単に処理できるように、車内のメッセージ通知では、通知カードに次の 2 つの機能を提供する必要があります。
- 再生: アシスタントまたはプラットフォームが提供するデフォルトの TTS（テキスト読み上げ）リーダーを使用して通知を読み上げます。
- 会話をミュートする: これから運転している間は、特定の会話の HUN を表示しないようにします
会話をミュートにしても、その会話のメッセージは通知センターに表示されます。
シンプルな通知センター
車では、通知センター（プルダウン シェードとして実装されることもあります）は、運転中または運転終了時にドライバーがアクセスする可能性のある通知の一時的な保持エリアとして機能します。一部のカテゴリの通知は除外され、運転中に表示される通知の数が制限されます。また、運転を開始するたびにクリアされます。
通知センターに表示される通知の種類について詳しくは、車の通知の仕組みをご覧ください。
車の運転状態の認識
車の運転状態（駐車中、アイドリング中、走行中）を把握することは、ドライバーの注意をそらすことなく安全に表示できる情報の量を判断するうえで重要な要素です。
Android Automotive OS には UX 制限エンジンが搭載されています。これは、特定の運転状態で可能な動作と禁止される動作に関する一連のルール（自動車メーカーが構成可能）です。UX 制限エンジンでは、運転状態（および必要に応じて速度範囲）に基づいて、通知に対して次のような操作が許可されます。
- メッセージのコンテンツ プレビューを非表示にする
- 指定された長さを超えるテキストの切り捨て
- 通知センターなどに表示されるリスト項目の数を制限する
これらの制限は、車両が駐車しているときなど、必要のない運転状態では解除できます。
自動車メーカー向けの特別なカテゴリとコントロール
自動車メーカーは、ルート案内通知が HUN として表示されないようにすることができます。
また、Android Automotive OS には、自動車メーカーが制御する 3 つの新しい通知カテゴリが含まれています。
- CATEGORY_CAR_EMERGENCY
- CATEGORY_CAR_WARNING
- CATEGORY_CAR_INFORMATION
CAR_EMERGENCY カテゴリと CAR_WARNING カテゴリは通常のランキング メカニズムをバイパスするため、通知センターの通知リストの最上部に表示されます。